本文へ移動
サイトメニューへ移動
SCROLL

パシフィックコンサルタンツグループが目指す未来

グループ組織再編とパシフィックパデコインターナショナルの始動

2026年10月1日、パシフィックコンサルタンツホールディングス傘下の新たな国際事業会社としてパシフィックパデコインターナショナルが始動。同時にパシフィックコンサルタンツの子会社だった6つのグループ会社をパシフィックコンサルタンツホールディングスの直接子会社にしました。グループの組織構造も大きく再編され、パシフィックコンサルタンツグループは新たな一歩を踏み出しました。パシフィックコンサルタンツホールディングス代表取締役社長の大本修に、新体制が目指すものは何か、社長としてどんな思いで舵を取っていくのかを聞きました。

INDEX

山積する社会課題と私たちの役割

――いよいよパシフィックコンサルタンツグループが新たな一歩を踏み出しました。背景にあるものは何ですか。

大本:2026年1月のホールディングスの設立に際しても話しましたが、今、私たちはかつてない変化の只中にいます。ウクライナ戦争や中東情勢の先行きは見えず、気候変動に伴う災害の頻発化・激甚化も加速しています。日本でも雨の降り方が大きく変わり、今年も各地で記録的な大雨が相次いでいます。その一例である令和8年8月千葉豪雨では、平年の8月、1カ月分の降水量の3倍を超える雨がわずか半日で記録され、内水氾濫が次々と発生しました。内閣府のまとめによれば、13名の方が亡くなり、床上まで浸水した住宅は2,200棟を超えると報告されています。特徴的なのは浸水被害の多くがハザードマップの「浸水想定区域外」で発生したといわれていることです。地域の人々の安全や穏やかな日常、その生命を守るためには、従来のような河川、道路、下水道といった分野別の整備や維持管理、被害想定では追いつかない時代に入っています。

海外も同様です。ネパールでは氷河崩落による甚大な土石流災害が発生、海面上昇による浸水域の拡大に脅かされている国も少なくありません。これまで、円借款のインフラ整備事業は主に東南アジアを中心に進められてきましたが、そういうニーズは縮小しています。一方で、インフラの維持管理や更新の進め方、気候変動適応策としてより大規模な沿岸防護や都市移転の計画づくり、あるいは教育をとおした人づくりなど、国や地域によって直面している課題も異なってきています。

――国内・海外を問わず、建設コンサルタントという立ち位置では有効な取り組みが難しくなっているということですね。

大本:今まで通りのやり方に固執していては、多様化し複雑化している社会課題に応えることはできません。これまで建設コンサルタントとして私たちが主に提供してきたのは、既存の構想に沿って、インフラ整備に関する調査・計画、設計を行い、さらには一部、施工のマネジメントをするということであり、最初の構想段階、そして完成後の維持管理や施設の運営には、あまり関わってきませんでした。しかし、今後AIをはじめとする技術革新が進む中で、私たちが担う領域も大きく変化していくと考えています。だからこそ上流側の企画・構想や、下流側の運営・マネジメントの領域で、より高い価値を提供していくことが重要になります。

私たちには建設コンサルタントとして75年をかけて蓄積してきた多分野の高度な技術力と、すぐれた技術者が結集しているという強みがあります。それを核に、グループの総合力を活かして上流側、下流側に展開することで、今の時代に求められる価値提供ができます。今私たちに必要なのは戦略を立て、実行することです。そのためには、パシフィックコンサルタンツという事業会社ではなく、パシフィックコンサルタンツをはじめとするグループ会社を傘下に収めるホールディングスがグループ全体の方向性を示し、経営資源を最適に配分しながら、グループとしての提供価値の向上を目指すことが重要と考えています。

まず私たち自身が勇気を持って変わることから

――2026年1月のホールディングスの設立から今回の国際事業会社の設立とグループ再編まで10カ月。速いですね。

大本:社会や市場の変化のスピードは非常に速いですし、私たちも迅速に対応していかなければなりません。グループの使命として、「誰もが脅かされない、格差がない豊かなくらしを実現する」「美しい地球の環境を守り、未来へ引継ぐ」というふたつの両立を掲げています。この使命を全うしていくためには、時代の変化に合わせて有効な体制をつくり続けることが求められます。必要なのは、変化を恐れるのではなく、まず私たち自身が変わることです。そして勇気を持って新しい世界に踏み出すことだと思っています。その一環として、グループ組織構造を大きく再編しました。

新たな国際事業会社であるパシフィックパデコインターナショナルの設立のタイミングは、決して早くはないと考えています。2023年12月にパデコをグループに迎え、約3年が経過するからです。そう言いながらも、企業文化の異なる会社が一つになることは、簡単ではありません。新会社では、新たな企業文化を、時間をかけて醸成しながら、持続的に成長していくことを期待しています。

建設コンサルタントであることにとらわれない

――パシフィックコンサルタンツグループとして、まず何を実現しますか。

大本:まずはパシフィックパデコインターナショナルを、しっかり独り立ちさせることです。事業規模においても収益においても、国内事業を担うパシフィックコンサルタンツと肩を並べる企業にしたいと思っています。もう一つは民間事業の拡大です。昨年、パシフィックコンサルタンツにソリューションビジネス本部を設け、従来のつながりも活かしながら民間事業への取り組みを強化しています。その中で顧客とのリレーションを強化し、抱える経営課題をしっかり理解した上でソリューションを提供する、いわゆる新たな顧客起点のビジネスを創出していきたいと考えています。すでにDXを活用したさまざまなソリューションの提供や次世代エネルギー分野における大規模プロジェクトなど、まだ誰も取り組んでいないような新規事業にも積極的に参画しています。また、私たちがこれからも社会に必要とされ続けるためには、建設コンサルタントという枠にとらわれない企業グループへ進化していくことが必要だと考えています。既存のグループ各社においても、エネルギー関連ではパシフィックパワーなど、すでに建設コンサルタントの枠内には収まらない事業を展開している会社があります。こうした会社は、グループ再編の中でホールディングスの直接の傘下に置きました。パシフィックコンサルタンツとは異なる成長を目指し、ホールディングスの戦略実現の一翼を担ってほしいと思っています。

――なるほど。グループとしての戦略のもとで、パシフィックコンサルタンツやパシフィックパデコ、そのほかの事業会社が歩んでいくということですね。

大本:そうです。それだけに最上位計画となるホールディングスとしてのグループ戦略は非常に重要です。

エリアを意識できるのはパシフィックコンサルタンツグループだから

――新たなグループ体制のなかでも新しい国際事業会社であるパシフィックパデコには大きな期待があると思います。

大本:現代の社会課題は、多様化、複雑化、ボーダレス化が進んでおり、国内、海外と区別する意味がなくなっているものもあります。特に気候変動への対応は、国内だけで完結することではありません。また海外では、インフラ整備後の維持管理にあたる人材の育成はもとより、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギートランジションの支援、急激な人口増や海面上昇に伴う都市の防護や移転、移転に伴うTODなどを駆使した再開発、さらには初等教育の充実をとおした人づくりへの、従来のインフラ整備の枠にとどまらない、さまざまな支援を求める声があがっています。特に教育については、日本のカリキュラムや学校運営のノウハウを導入したいという国が増え、パシフィックパデコインターナショナルはその点でも豊富な実績を持っています。従来の建設コンサルタントで、こうした多様なニーズに応えられる企業グループは存在しないと考えており、海外事業をとおして貢献できることは少なくないと思っています。

――今後どんなグループにしていきたいと思いますか。

大本:ホールディングス体制が本格的に始動することで、グループ各社も新たな視点で自社の成長を実現できる環境が整ったと思います。これまでは建設コンサルタントであるパシフィックコンサルタンツから見たらどうなのか、その一員としてどう振る舞うべきかという発想に偏りがちだったと思いますが、これからは、グループのステートメント、ホールディングスの戦略に沿って、自社がどういう事業を展開し、成長するのかといったことをもう少し柔軟に考えることができます。逆に、ホールディングスから、こういう役割を担ってほしいとお願いすることもあると思います。いずれにしてもホールディングスの戦略に沿って、グループ各社が事業を推進し、成長する、それをグループとして結集することで、今までにない大きな価値提供ができるのではないかと思います。

ひとつの例として、エリアという括りで事業を考えるというのは、私たちならではの発想です。一般の事業会社は、自社事業の商圏という意味でエリアを意識することはあっても、さまざまなステークホルダーが存在するエリア全体を対象に、その暮らしやすさや自然環境の豊かさ、防災・減災への配慮といった包括的な視点から価値向上を考えるということは無いと思います。それができるのが、パシフィックコンサルタンツグループだと思います。そういった視点も持ちながら、私たちに何ができるか、何をすべきか、グループ各社から色々なアイデアが出てくることを期待しています。グループ従業員の皆さんには、グループの未来のために、一人ひとりが自らの役割を考え、挑戦していただくことを期待しています。それがグループの成長につながり、私たちの使命の実現につながっていくことを確信しています。

大本 修

OMOTO Osamu

パシフィックコンサルタンツホールディングス株式会社
代表取締役社長

1996年パシフィックコンサルタンツ株式会社入社。本社業務推進部長、九州支社長などを経て2016年取締役就任。2022年10月より代表取締役社長。2026年1月よりパシフィックコンサルタンツホールディングス株式会社 代表取締役就任。信条は「着眼大局着手小局」。大きい目標を目指しながらも、確実に取り組む姿勢を心掛ける。パシフィックコンサルタンツ株式会社 代表取締役会長、建設コンサルタンツ協会 会長。

RELATED POSTS

新たな一歩を踏み出したパシフィックパデコインターナショナル

2026年10月1日、パシフィックパデコインターナショナルが、パシフィックコンサルタンツグループの新たな国際事業会社としてスタートしました。2023年にグループの一員となったパデコと、パシフィックコンサルタンツのグローバルカンパニーが一つになって生まれた新しい会社です。国内事業会社であるパシフィックコンサルタンツとともにグループを牽引することになるパシフィックパデコインターナショナルがどのような価値を提供し、何を目指すのか。代表取締役社長執行役員に就任した石河雅典に話を聞きました。

グループの力を最大化し、ステートメントの実現に向けて歩む

設立以来、70年以上にわたって、さまざまな社会インフラの整備に貢献し、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会の実現に向けて歩みを進めてきたパシフィックコンサルタンツグループ。2026年1月に、新たにパシフィックコンサルタンツホールディングス株式会社を設立し、新たなグループ事業ポートフォリオマネジメントに踏み出しました。代表取締役に就任した大本修にその狙いと代表としての思いを聞きました。

社会インフラサービスのプロ集団、新体制へ!震災を経験した社長の「着眼大局、着手小局」

創立75年、日本のインフラ整備を戦後復興の時代から支えてきたパシフィックコンサルタンツは2026年1月、ホールディングス体制へ移行した。大本修社長に新体制への覚悟を聞く。